実りの秋

今年の夏はあまり暑くなかったのですが、仕事が急に忙しくなって、いつもの年より物件を見に外を歩くことが多く、日焼けで顔は黒くなり、体に疲れが溜まってばて気味になりました。
それでも、ようやく涼しい風が吹くようになって、少し元気が戻ってきたようです。
当社取り扱いの不動産売買が夏場になってから急に多くなって、忙しい毎日でした。今年前半は売買が全く停滞していたのに、思いもかけない変化です。しばらくは、この好ましい風が続いてくれることを願っています。

夏は夏枯れとも言って、商売が少なくなる季節で、昨年からの不動産の不景気がもっと落ち込むかと思われていたのですが、東京の不動産市況の潮目が変ったようです。一昨年後半から値下がりしてきた東京の不動産価格は、この夏で底を打ったと思われます。
ここのところ、中古マンション、中古戸建住宅の市場に出回る売り物件がどんどん減って、逆に住宅を探す人は少なくなっていないようで、需要が引き締まってきました。すでに、優良物件、収益用ワンルームマンションの値上がりが始まっています

食味散歩「韓国料理 満月」

店は当社から表通りを東に歩いてすぐのところにあります。

社員と昼食に良く行く店のひとつです。
「営業というものはだねぇ、物件そのものを売るんではないんだよ。無料のサービスをどれだけ付けられるかによるんだよ。」
私はいつもの石焼ビビンバ
を頼み、料理がくるのを待つ間に、仕事の先輩としての教えを新しい社員に聞かせます。
熱く焼けた石鍋と、3つの小皿の乗ったお膳が届きます。鍋の中身のご飯と、具の上に辛いジャンを乗せて、スプーンでかき混ぜると、パチパチと焦げる音がして、湯気と、食をそそるもののこげるにおいが立ちのぼります。
少し辛い、熱々のまぜご飯を喉にかき込むと、じきに、汗が顔に吹き出てきます。二日酔いのうっとうしい気分がみるみる飛んでゆく、気持ちの良い汗です。汗を吹き吹き石鍋のビビンバを食べます。美味しい食べ物を食べるときはひたすら食べることに熱中してしまいます。
食べ終わってから、「皆、早く一人前の営業マンになってもらいたい」と、社員にとって食事をまずくする話を話すつもりでいます。

春の予感のなかで考える

節分を過ぎると暦は春になります。
まだ底冷えのする冬の寒さの底に春の予感がかすかに始まっているのが分かります。

春を前に最初に咲く花が梅の花で、そこここから梅の便りが届きだしました。
ある日、上野公園の清水観音堂の近くの大木の集まる木陰の暗い片隅に菅原道真の『東風吹かばにおい起こせよ梅の花あるじなしとて張るな忘れそ』の歌碑があって、そばに紫に近い紅梅が一本凍える寒さのなかで咲いていました。湯島天神の梅はもう見ごろのようです。伊豆の河津桜も満開なのをテレビで見ました。
日一日と行きつ戻りついしながら春は確実な足取りでちかずいてきます。
誰にとっても、春の足音が遠くから聞えてくると思える頃は、嬉しくなり、心が弾んできます。ある日、公園の隅の陽だまりに水仙の黄色い花が咲いているのを見つける。別のある日、黄梅が寺の前に木一杯に咲いているのを発見する。
次々と新しい春を見つける喜びがなんともいえず嬉しい、一年のなかで春を待つ二月が一番好きな月だと思える今日この頃です。

酉の市と年末

まだ師走の月なのに「酉の市」と聞くともう年の瀬を迎えたような忙しい気分になります。
鷲神社の酉の市といえばなんといても鷲神社で、下町の暮れに欠かせない歳時の行事です。
今年は、三の酉まであって、11月5日の一の酉では、例年以上に人出が多く賑わったと新聞にかかれていました。
三の酉のある年は不景気で、火事が多いという言い伝えがあるそうですが、火事はともかくとして不景気は当っています。そして、不景気な年ほど酉の市は賑わうそうで、その予測は正しかったようです。三の酉の11月29日に混雑する前にお参りを済ませたいと思い、、お昼の12時ころに行ったのですが、もう長い行列ができていて神社にたどり着くのに1時間もかかりました。いつもの店により上手な店の人の奨めもあって、気合いで去年より一回り大きな熊手を求めて、手締めで威勢をつけてもらって持ち帰りました。
借りている隣の建物の建て替えが急に決まって、解体工事が始まり、工事の騒音がするなかで、備品の移転などがあって忙しない日々がここのところ続いていましたが、その最中に新しい熊手を店に飾れて、ようやくすこし安堵する気分になりました。模様替えした店の守護神としてこれからの店を守ってもらえる、来年はきっと良い年になる、見事な熊手を見上げるとごとに、そんな思いを新たにしています。