洋食屋 三代目たいめいけん

上野不動産新聞第65号掲載 食味散歩
店に一人で入ると、若い店員に案内されてコの字形につくられた狭い二人掛けの席に座る。接近した隣に若い女性が一人で食事中で、悪い気はしないが落ち着かない。
氷の入ったグラスが届き、私は欲張って二種類のメニューを一緒に味わいそうなオムハヤシライスを注文する。
店はJR上野駅中のホームの上階の改装中の通路の奥にあって、12月に開店したばかりである。たしかここには以前立ち食い蕎麦屋があった。
やがて、茶褐色のソースの掛かった、黄色い半熟玉子の衣に包まれたオムライスの皿が、店員の手で運ばれてきた。
スプーンを頭のところを突き刺して掬って口に運ぶ。口の中でよく煮込んだソースの濃厚な味と、半熟玉子のつるりとした触感、それからチキンライスのあっさりした味が一緒になって合唱している。これが日本橋で名前を取った老舗の洋食屋の味なんだと、しっかりかみ締めて食べる。奇をてらわない落ち着いた味である。
今回はボルシチと、コールスローがそれぞれ50円でサイドニューにあるのを見落として注文しなかったのが心残り。
ラーメンも隠れた人気メニューだとか。
人気の洋食屋が上野駅中に開店するなんて嬉しいですね。

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