9月14日
今月22日に発行予定の「上野不動産新聞71号」に掲載する食味散歩の記事を紹介します。
「UPCAFEのUPというのは上野の上という字をとったんですかー」
同伴者は店に入るなり言う。そうかもしれない。でもどの案内パンフレットにも店の名前の由来なんて書かれていないみたいだ。
それにしても、この店はカフェーらしくないなーと周りを見回す。入り口近くの丸いテーブル上に置かれている白いふんわりした毛をまとった羊と、その背中に乗っている真っ赤なイチゴのアート。奥の壁一杯に描かれた上野駅周辺のしゃれたイラストマップ。そして、ガラスの壁や客席の仕切に貼られたり、置かれたりしている沢山のポストカード。
「このカードって上野のカードなんですかねー」
その通り、眼で追って行くと、動物園の動物達や、近くの名所の写真、パンダのイラストみんな上野ばかりだ。
蓮の花のティーパックをカップのお湯のなかで揺すって引き上げる。そして、紅茶色に染まった液体を喉に流し込む。眼を閉じて、その渋いちょっとかび臭い味をしんみりと味わう。
すると、脳裏に店の周りの世界がドンドン広がって、不忍池や、名所たちの姿が次々の見えてきた。